Samsung ビスポーク洗濯機がレッドドット2026最高賞を受賞|デザインと機能を解説

ガジェラ: 家電 家電
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みなさん、こんにちは。スワローインキュベート代表の大野です。

韓国語で読んでいるSamsung Newsroom KRに、非常に興味深いインタビュー記事が掲載されていました。サムスン電子のDA(デジタル家電)事業部がデザインした「ビスポーク AI 洗濯家電シリーズ」が、レッドドット・デザインアワード2026において最高賞「ベスト・オブ・ザ・ベスト」を受賞したというニュースです。

「洗濯機がデザイン賞を獲る」——そう聞くと少し意外に感じるかもしれません。しかし記事を読み込んでいくと、「これは単なるデザインの話ではなく、ソフトウェア設計・製造プロセス・サステナビリティ思想まで含んだ、エンジニアリング全体の話だ」と気づかされます。

今回はそのサムスンのインタビュー記事を読み解きながら、技術的な視点で詳しく解説していきます。


レッドドット・デザインアワード「ベスト・オブ・ザ・ベスト」とは

まず賞の重みを整理しておきましょう。

「レッドドット・デザインアワード」はドイツ発祥の世界三大デザイン賞のひとつで、毎年数千点もの応募が集まります。その中で最高評価を得た製品にのみ贈られるのが「ベスト・オブ・ザ・ベスト(Best of the Best)」です。単に「受賞した」というレベルではなく、応募全体の中でも突出した製品にしか与えられないトップ称号です。

家電分野でこの最高賞を受賞するということは、デザインの審美性だけでなく、機能との統合・ユーザー体験・製造クオリティを含めた総合評価が認められたことを意味します。


ユニボディ・デザインコンセプト:複数製品を「一つのブランド顔」でまとめる設計思想

今回受賞したビスポーク AI 洗濯家電シリーズの核心的な設計思想が、「ユニボディ・デザインコンセプト(Uni Body Design Concept)」です。

このコンセプトが適用されている製品形態は以下のとおりです。

製品形態 概要
ドラム式洗濯機(単体) 乾燥機と分離して使用するスタンダードモデル
ドラム式乾燥機(単体) 洗濯機と上下スタック可能
ワンボディ(上下一体型) 洗濯機+乾燥機を縦に統合した一体筐体
コンボ(洗濯乾燥一体型) 1台で洗濯から乾燥までを完結するオールインワン

製品形態がこれだけ多様でありながら、どれを並べても同一ブランドに見える統一されたビジュアル言語を維持するのは、実はかなり難しい設計課題です。

エンジニア的な観点で言うと、これは「デザインシステムの標準化」に近い考え方です。ソフトウェア開発でいえば、異なるプラットフォーム(iOS・Android・Web)向けに同一のデザインコンポーネントを提供するデザインシステムを構築するようなイメージです。複数の製品ラインナップを持つ白物家電メーカーとして、これを徹底して実現できているのはサムスンの規模とリソースがあってこそだと感じます。


洗濯機初の7インチ大型タッチディスプレイ:UX設計の視点から読む

技術面で最も注目したのが、洗濯機として初となる7インチ大型タッチディスプレイの搭載です。

スマートフォンのサブ画面程度のサイズですが、白物家電のUI端末としては破格の大きさです。注目すべきは「大きくした」こと以上に、そのUIの設計思想にあります。

Samsung Newsroomのインタビュー記事によると、このディスプレイでは2D/3Dアニメーションなどの視覚要素を積極的に活用し、テキストに頼らない直感的なUXを実現したとのことです。

これはUI/UX設計の世界では「アイコノグラフィ(図像言語)設計」と呼ばれるアプローチに近く、言語を問わず世界中のユーザーが直感的に操作できるUIを目指したものと考えられます。

白物家電の操作UIは長らく「文字とボタン」で構成されてきました。それを「アニメーションと視覚的フィードバック」に転換することは、製品の国際展開においても非常に重要な意味を持ちます。日本語・英語・アラビア語……どの言語圏のユーザーにも同じ体験を届けられるからです。

また、7インチという大型ディスプレイによって、洗濯コースの状況可視化・AI提案内容の表示・エラー通知なども格段に見やすくなると考えられます。従来の小型セグメント表示や2〜3インチ液晶と比較すれば、情報量は圧倒的に増えます。


製造プロセスの革新:VCM・PCM方式への移行とサステナビリティ

デザインや機能と同じくらい、今回の受賞で注目されているのが製造プロセス自体の改革です。

従来の白物家電の塗装・外装仕上げには、スプレー塗装や蒸着方式が一般的に使われてきました。しかしこれらの工程は、揮発性有機化合物(VOC)の排出・廃液処理・エネルギー消費といった環境負荷の高さが長年の課題でした。

サムスンはビスポーク AI 洗濯家電シリーズの製造において、これをVCM(Vinyl Coated Metal:ビニールコーティングメタル)・PCM(Pre-Coated Metal)方式に完全移行させたとのことです。

比較項目 従来方式(スプレー塗装・蒸着) 新方式(VCM・PCM)
塗装プロセス 製品組立後に塗装・蒸着処理 鉄板の段階で色・質感を施工済み
VOC排出 多い(溶剤系塗料使用) 大幅削減
廃棄物 塗装ミスによる廃棄ロスが発生 ロスが少ない
エネルギー消費 乾燥炉・蒸着設備が必要 設備エネルギー削減
作業環境安全性 有害溶剤への暴露リスクあり 改善
仕上がりの質感 プレミアム感を出しやすい プレミアムメタル質感を再現

エンジニアの視点から補足すると、VCM・PCM方式は鉄板メーカーの段階で色・テクスチャを施したコイル材を使う方式です。家電の外装パーツはそこから打ち抜き・曲げ加工で成形されるため、塗装工程そのものが製品組立ラインから切り離されます。

これはサプライチェーン設計の変更でもあり、品質の均一化・ロット間のばらつき低減という副次的メリットも得られます。「環境配慮」と「品質安定」を同時に実現した、非常に合理的な工程改革だと評価できます。

また、「プレミアムメタルの質感を再現しつつ作業環境の安全性も確保した」という点は、単なるコスト削減ではなく、工場で働く人間の安全と地球環境への配慮を両立したという意味で、現代のものづくりとして模範的なアプローチです。


「家具になった洗濯機」という思想:インテリアとの統合

Samsung Newsroomのインタビュー記事タイトルは、韓国語で直訳すると「『家具』になった洗濯機、ユーザーの好みに溶け込む」というものです。

この言葉の背景には、現代の生活空間における白物家電の位置づけの変化があります。

従来、洗濯機は「洗面所や脱衣所に置く機能的設備」として、見た目はほぼ無視されてきました。しかし近年、洗濯機をリビングやランドリールームに堂々と置くライフスタイルが広まりつつあります。韓国では特にその傾向が強く、インテリアとコーディネートできる家電への需要が高まっています。

「ビスポーク(Bespoke)」というシリーズ名自体が「オーダーメイド・仕立て服」を意味する言葉で、カラーパネルを選べるカスタマイズ性がシリーズの根幹にあります。洗濯機を「機能を満たせばいい設備」から「自分の空間に合わせて選ぶインテリア家電」へと再定義したのが、このビスポークシリーズの本質です。

エンジニア目線で見ると、これは製品設計における「ユーザーの生活文脈(コンテキスト)の再設計」であり、スペックシートには載らない設計思想の勝利とも言えます。

なお、Samsung ビスポークシリーズは冷蔵庫でも同様のデザイン哲学が貫かれています。Samsung Bespoke冷蔵庫 韓国モデルの機能・スペック徹底解説【2026年版】も合わせてご覧いただくと、シリーズ全体の設計思想がより深く理解できます。


まとめ:「洗濯機のデザイン賞」が示す、日本市場へのインプリケーション

今回のレッドドット2026最高賞受賞は、単に「サムスンの洗濯機がかっこいい」という話ではありません。ポイントを整理するとこうなります。

  • ユニボディ・デザインコンセプトにより、複数の製品形態に統一されたブランドデザインを実現
  • 7インチ大型タッチディスプレイと視覚的UXにより、言語を問わない直感操作を実現
  • VCM・PCM製造方式への移行で、環境負荷削減・品質安定・作業安全性向上を同時達成
  • 「家具になった洗濯機」という思想で、インテリア家電市場を再定義

日本市場でもサムスンの白物家電は着実に浸透しつつあります。特に「洗濯機にもデザインを求める」層が増えている今、このビスポーク AI 洗濯家電シリーズは非常に有力な選択肢になり得ます。

技術仕様・UIの洗練度・サステナビリティへの取り組みと、三拍子揃った製品として注目しています。



参考情報

本記事は以下の情報を参考に執筆しました。

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東京外国語大学 朝鮮語専攻卒。韓国語歴26年、ダナワ・퀘이사존・인벤など韓国テックメディアを日常的に読んで一次情報を収集。株式会社スワローインキュベート代表。AIエンジニアとして顔認証・なりすまし判定システムをC++/Pythonで開発。趣味は自作PCで、複数台を一から組み上げた経験を持ち、社内稼働中のデスクトップはすべて自作。Samsung・LG・Galaxyなど韓国テック製品を、現地の声・エンジニアの目線・自作PCユーザーの実感で深掘りします。

大野 寿和 (Ohno Toshikazu / 오노 토시카즈)をフォローする
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