【初級編】世宗大王とハングルの誕生|訓民正音はなぜ作られたのか

コラム

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みなさん、アンヨンハセヨ。今日もペゴパしてますか?

この記事では、私たちが韓国語を学ぶときに使う「ハングル」という文字が、いつ・なぜ・どのようにして生まれたのかをお話しします。歴史の話ですが、難しい専門知識は一切なし。ドラマや教科書で一度は聞いたことがある「世宗大王(セジョン テワン)」の名前と、その偉業の背景を知ると、毎日使うハングルへの愛着がぐっと深まりますよ。

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ハングルが生まれる前、人々はどうしていたの? 📜

韓国語には昔から豊かな話し言葉がありました。ところが、文字として書き記す手段が長い間なかったのです。

その代わりに使われていたのが「漢字(かんじ)」。中国から伝わった漢字は、知識人や役人のあいだでは広く使われていました。しかし漢字は学ぶのに長い年月がかかる難しい文字。当時、文字の読み書きができたのは、時間もお金もかけて教育を受けられる一部の人たちだけでした。

庶民の多くは、自分の名前すら書けない時代が続いていたのです。

「吏読(イドゥ)」という苦肉の策

漢字をそのまま使うのが難しいため、朝鮮半島では漢字の音や意味を借りて朝鮮語を表す「吏読(이두 / イドゥ)」という独自の方法が工夫されていました。しかしこれもとても複雑で、習得には専門的な訓練が必要でした。

庶民が日常の言葉をそのまま書き残せる文字——そういう文字が、長いあいだ存在していなかったのです。


世宗大王はどんな人物だった? 👑

ここで登場するのが、朝鮮王朝第4代国王・世宗大王(세종대왕 / セジョン テワン)です。

世宗大王は、政治・農業・科学・音楽・言語と、あらゆる分野に深い関心を持った国王として知られています。在位期間中は、農民のために雨量計や測雨器を作らせたり、農業技術書を編纂したりと、民の生活をよくすることに心を砕きました。

韓国のドラマや映画でも何度も描かれてきた人物で、現在も韓国の一万ウォン札の肖像に採用されています。韓国を旅したことがある方なら、きっとそのお顔を目にしたことがあるはずです。

民を思う心が文字を生んだ

世宗大王がとくに胸を痛めていたのが、民が文字を持たないことでした。

たとえば、罪を犯したとして裁判にかけられた人が、自分の言葉で事情を説明することもできない。病気になっても、薬の処方を書いた紙が読めない。自分の置かれた状況を文字で伝える手段がない——そんな状況は不公平だと、世宗大王は考えたといわれています。

「すべての民が、自分の気持ちを文字で表せるように」

その思いが、ハングル誕生の原動力になりました。


訓民正音(フンミン ジョンウム)とは何か? 💡

世宗大王は、学者たちとともに新しい文字を作り上げます。その文字体系の名前が「訓民正音(훈민정음 / フンミン ジョンウム)」です。

意味を分解してみましょう。

ハングル カナ読み 意味
훈민 フンミン 民を教える
정음 ジョンウム 正しい音

つまり「訓民正音」とは、「民に正しい音(発音)を教えるための文字」という意味です。

現代では私たちが日常的に「ハングル(한글)」と呼んでいるこの文字体系は、もともとこの「訓民正音」という名前で生まれました。「ハングル」という呼び名が定着したのは、近代以降のことです。

訓民正音の序文に込められた言葉

訓民正音が発表されたとき、その冒頭には世宗大王自身の言葉による序文が記されていたと伝わっています。その内容は「わが国の言葉は中国とは異なり、漢字とは互いに通じない。だから多くの民が言いたいことがあっても、その気持ちを述べられないでいる」という意味合いの言葉だったとされています。

国王が自ら「民のために文字を作った」と宣言する——これは当時としてもとても珍しいことでした。


ハングルはどんなふうに設計された文字なの? 🗣

ハングルが世界の文字研究者から注目される理由のひとつは、その設計の合理性にあります。

口と舌の形を見てみよう

子音(しいん)の字形は、音を発するときの口・舌・歯・喉の形をもとにデザインされたといわれています。

たとえば、「ㄴ(n)」という字は舌が上あごの前歯のうしろに触れる形を表しているとされています。「ㅁ(m)」は口を閉じた形、「ㅅ(s)」は歯の形——というように、文字の形そのものが発音の手がかりになるよう工夫されているのです。

初めてハングルを学ぶとき、「記号みたいで覚えにくい」と感じる方もいますよね。でも実は、意味のある形から生まれているというのは、知っておくとちょっとだけ親しみが湧きませんか?

母音(ぼいん)は天・地・人から

母音の基本となる字形は、天(・)・地(ㅡ)・人(ㅣ)という三つの要素から作られたといわれています。韓国の伝統思想と言語学が組み合わさった設計思想で、単なる記号の組み合わせではなく、哲学的な背景を持った文字体系なのです。


学習への持ち帰り:ハングルの成り立ちを知ると何が変わる? 📝

歴史の話を読んできましたが、「で、韓国語の勉強にどう関係するの?」と思った方のために、学習につながるポイントをまとめますね。

✅ 「覚えにくい」から「意味がある」へ

ハングルは記号のように見えますが、口や舌の形が字形のベースになっているという成り立ちを知ると、「意味のある形」として見られるようになります。子音を覚えるとき、ちょっと思い出してみてください。

✅ 「민(ミン)」という字を覚えよう

訓民正音の「민(ミン)」は「民」を意味します。韓国語にはこの「民」を含む単語がたくさん登場します。

  • 국민(クンミン)=国民
  • 시민(シミン)=市民
  • 민요(ミニョ)=民謡

ドラマや歌の中でよく耳にする言葉ばかりです。ハングルを読む練習をしながら、ぜひ探してみてください。

✅ 「훈민정음(フンミン ジョンウム)」を声に出してみよう

長い単語ですが、ゆっくり分解すれば読めます。

훈(フン)+민(ミン)+정(ジョン)+음(ウム)

韓国語では文字の並び方に法則があるので、一文字一文字の読み方を覚えてしまえば、見たことのない単語でも声に出して読めるようになります。それがハングルの強みであり、世宗大王が目指した「誰でも使える文字」の本質です。


まとめ 📌

  • ハングルが生まれる前、朝鮮半島では漢字が使われていたが、庶民には難しすぎた
  • 世宗大王は「民が自分の言葉を書き記せるように」という思いから新しい文字を作った
  • その文字体系の名前が「訓民正音(フンミン ジョンウム)」で、現代の「ハングル」のもとになった
  • ハングルは口や舌の形・天地人の思想をもとに設計された合理的な文字

私たちが当たり前のように読んでいるハングルの一文字一文字には、「誰もが言葉を持てるように」という、ひとりの国王の願いが込められています。

今日もまた一つ学んで、ペゴパチュッケッソヨ!

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東京外国語大学 朝鮮語専攻卒。韓国語歴26年、韓国メディア・webtoon・現地SNSを原語で読んで一次情報を収集。株式会社スワローインキュベート代表。AIエンジニアとして顔認証・なりすまし判定システムをC++/Pythonで開発。韓国語入門ブログ「ペゴパハングル」では、ハングルの文字から文法・フレーズ・教材選びまで、教科書の正確さと生きた韓国語の両方をひとくちずつ深掘りします。

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